アトピー性皮膚炎に対してのステロイド剤とプロトピック軟膏について


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アトピー性皮膚炎に対してのステロイド剤とプロトピック軟膏について

ステロイド剤・プロトピック軟膏がもたらす害

超微量で作用するステロイドホルモン
「ステロイド剤は国のガイドラインに定められた安全な薬剤です。  そもそもステロイドホルモンは、人間の体内で生産されている成分なんですよ」 ステロイド剤に抵抗を示す患者に、医師は決まってこうのような説明をします。 確かに私たちは、自分の体でステロイドホルモンを生産して 必要細胞へ作用させることで正常に生きています。 しかし 人間の体内で生産されるステロイドホルモンは、一生80年として約1g です。 つまり、1年間の生産量は多くても0.01gということです。 更年期において、体が大きく変貌するというのも、実はこのステロイドホルモンの少しの変化で起きる のです。

このように、 ステロイドホルモンは、超微量(100万分の1g)で細胞に直接作用し、そんな症状にも瞬時に結果を出してくれる万能性の高い生理物質 ですから、 人工的に作られたステロイドホルモンであるステロイド剤は、多くの難病治療に利用され、 大火傷や喘息発作などの緊急時にも力を発揮することは事実です。 けれど、この最終兵器とも言える薬を、 アトピーなどの慢性的な疾患へ継続使用するのは大変危険 なのです。使用を止めた途端、悪化するからです。 だからこそ、麻薬のように一度使えば手放せなくなります。 理由は、自己の体から作られる本来のステロイドホルモンと、 医療用に作られたステロイドホルモンとでは、性質が大きく異なるからです。

ステロイド剤がもたらすリバウンド症状
本来のステロイドホルモンは自己記号を有していて、同じ記号の受容体を持つ必要細胞にしか作用しない ようになっています。 簡単に言うと、Aさんの体でつくられたステロイドホルモンはAさんだけに効き、 必要な部分のみに作用します。 けれど、 医療用のそれは無記号ですから、男性ホルモンにも女性ホルモンにもインシュリンにもステロイド系の全ての部位に作用 します。つまり、万人に効く上、体の広範囲に作用するのです。 この無差別的な作用をもたらすステロイド剤を継続使用すると、自己の記号を持つ受容体は全て無記号となり、自己記号のステロイドホルモンは必要細胞へ作用できなくなる のです。 体内で生成される自分専用のステロイドホルモンが作用しなくなるわけですから、 ステロイド剤を外せば、抗炎症作用や抗ストレス作用が一気に低下して、 リバウンド的症状が発生 することになります。 また、免疫抑制作用もあるので異物の侵入が起きても免疫活動ができず、 ステロイド剤を使用した体は細菌に対して無防備となり、すぐに感染を起します。

体内に溜まったステロイド剤のゆくえ
このように大きな危険性をはらんだステロイド剤について、かつて金沢大学の某皮膚科教授は 「1ヶ月200gまでの使用なら問題ありませんし、私の指導で塗布すれば副作用は起きません。 副作用が起きるのは、素人の医者が塗るからです」と言い放ちました。 一生に1gしか産生しないこの物質を1ヶ月で200人生分処置しても構わない ということです。 驚いて開いた口がふさがりません。 この処置を仮に一生80年続けるとすると190万年分となるのですが……どう思いますか? その量が、体内に侵入した場合はどんなことになるのでしょう?作用以外の余剰分はいったいどこに行くのでしょう? そのメカニズムを最初に解き明かし、ステロイド剤の副作用を訴えたのが 免疫学の権威・安保徹先生でした。 安保理論の骨子は、ステロイドホルモン剤が作用した後、余剰分のステロイドは時間経過と共に 血中酸素と化合することで酸化して「酸化コレステロール」となり、交感神経優位となったことで 痒みやストレスが発生し、その症状を緩和させるためにはさらに大量のステロイド剤が必要となる。 そして、酸化コレステロールの中和ができず、脂肪と同様の排泄経緯となることで 体内に滞留しやすくなり、さらなる悪化の条件を作り出していると言うことです。 つまり、 血中を通過して作用するステロイドホルモンは、もともとコレステロール基材ですので、酸素に触れると酸化コレステロールとなり、便や尿での排泄ができなくなります。このようにして体内に蓄積された余剰分は、 やがて脂肪と同様の排泄経緯…… 第3の排泄器官である「皮膚」から無理矢理排出される ようになるということです。 しかし皮膚から排泄するには分子量が大きくて排泄しにくいので、 やがて排泄皮膚部位は肥厚化していき、一般で言う象皮膚化……硬くひび割れた皮膚となる のです。

ステロイド剤は自律神経系をも狂わせる
さらに、この薬で起きる重大な副作用の中に「自律神経系」への影響というものがあります。 これが起きた場合は大きな問題が発生します。先程、ステロイド剤を使い続けると自身で生成する ステロイドホルモンが体に作用しなくなることはお伝えしましたが、 この薬に自律神経系が侵されると、季節を感じなくなる。体温調節が出来なくなる、 血糖値血圧が維持できなくなる 、男性ホルモン・女性ホルモンのバランスが狂うことで起きる異性化への変貌等々、症状改善までのハードルがさらに高くなる 一方なのです。 幼少から長期間ステロイド剤を使用してきた多くの成人ステロイド被害者は、 その状況を余儀なくされ、厳しい環境の中で社会生活に耐えているのです。 私たちでさえ眼を塞ぎたくなる状況までなった方は数え切れません。

ステロイド剤は合法的な麻薬です
そして 最も恐ろしいのが、これだけの被害を出しながら、国や医師会は黙認し続けている ことです。 そもそも医師は、ステロイドホルモンがどれくらい体から産生されて、どのように作用しているかも まったく知らず、なおかつ皮膚の構造がどのようになっているかも知らないで、 国のガイドラインに守られながら、ステロイド剤を使ったアトピー性皮膚炎の治療を行っているのです。 某皮膚科教授の発言でも分かるように、末端の治療では医師それぞれの判断で患者に説明するので、 患者は何を信じてよいか判らずジプシーとなるのも当たり前でしょう。 その結果、この40年間でアトピーで困る方々は右肩上がりで重症化しています。 「とりあえずすぐ良くなるから使いましょう。その後のことは予想はつきませんが……」と、いとも簡単に麻薬を国推奨で出す のだから、国民は堪ったものではありません。 これは、未曾有の原発事故において未だ多くの犠牲者が出ているにもかかわらず、 「原子力発電を廃炉にする方法は分からないけれど、取り合えず効率よい発電だから続けましょう」 という考え方に酷似しています。

ちなみにアトピー性皮膚炎における国(厚生労働省)・皮膚科学会の治療ガイドラインは、
①発症・悪化因子の検索と対策 ②スキンケア ③薬物療法
となっています。この国の定める 治療ガイドラインを制定することで、ステロイド剤や プロトピック軟膏被害裁判から逃れることが目的 なのでしょう。 このガイドラインの①②なんて、実はどうでも良いのです。 目的はステロイド剤やプロトピック軟膏使用の条件を作り上げるためです。 このステロイド剤の罪・副害については、一部の医療研究者・脱ステ指導医師、 そしてステロイド被害者の方々なども、体内で起きる大きな問題や社会生活での問題等を 意を決して本やインターネットで告知し続けています。 しかし、国家権力を前にしては思うような大きな成果は得られず、 もう40年近く皮膚炎の薬剤として、今なお堂々と麻薬が税金を使って売られているのです。いわば、国の犯罪と言えます。 
なぜ、これだけの副作用が発覚しても認めず、医師は処方し国も罪を認めようとしないのでしょうか。 それは、 官僚・製薬会社・医師会各々の経済利益が発生することで、3者が庇い合いながら国税をむしりとっている からです。(一番の問題は厚生労働省のステロイド官僚でしょう) また、この問題は予防接種や子宮頸がん、乳がんにおいても同じことが言えると推察されます。 官僚・製薬会社・医師会が結託すれば何でもできるのです。黒も白になる恐ろしい仕組みです。 予防接種も国を絡めた危ない商売となっていますからご注意を…… 被害者の殆どはアレルギー系のお子様なのです。

プロトピック軟膏と皮膚がんの関係性
ステロイド剤と同様に、身近で危険な薬剤であるプロトピック軟膏は、 薬品名「タクロリムス」と言われる免疫抑制剤 です。 まずは、この免疫抑制剤がアトピー性皮膚炎の治療薬に使用され始めた経緯からお話しましょう。 アメリカでは臓器移植した患者に免疫抑制剤を処方するのが普通ですが、移植を受けた患者の アトピー性皮膚炎が、使用した免疫抑制剤によって緩和されたという事例が報告されました。 それに目をつけた藤沢薬品が、日本での認可に向けて皮膚科学会(東京女子医科大教授が中心)や 厚生省に働きかけ、恐ろしいスピードで認可されることになったのです。 当初(1999年11月)は、16歳以上の使用認可となっていましたが、数年後(2003年12月)には、16歳以下の小児の使用も承認 されました。 これは、16歳以下のアトピー性皮膚炎患者が多くいるため、その処方が法律的に承認されなければ、 製薬会社の目的が達せられないからです。
そこで、プロトピック軟膏の処方を一気に加速させるために製薬会社や医師会は、 「このプロトピック軟膏には、従来のステロイド剤のような副作用はありません」と、 これまでさんざん副作用がないと言って処方してきたステロイド剤を悪役にして、 健康雑誌や書籍、週刊誌なども利用しながら大キャンペーンを打って販売を開始したのです。 彼らの狙い通り、副作用がないという触れ込みのプロトピック軟膏には多くの患者が群がりました。 けれどもよく考えてみてください。 免疫抑制剤というのは、自己非自己は関係なく受け入れる体にするということですから、免疫本来の仕組みを崩すということに繋がる のです。 つまり、 異物侵入反応を一切行わなくすることで免疫反応を抑えようという仕組み です。 また、この薬の使用を継続していけば、皮膚に起きた変異細胞をも阻止することができず、 皮膚がんとなることが多く報告されています。 免疫の司令官「Tリンパ球」に働きかけ、「異物ではありません」と指示するのですから、がん細胞でも毒物でも、体内免疫は排除作用をしませんので、がんや敗血症となるのは当然 です。 それ以外でも、菌・ウイルス感染症、日光過敏、紫外線過敏等々、 この薬剤が数多くの苦しい症状を引き起こしていることが臨床報告されています。 こんな単純なメカニズムなど誰が考えても判ることなのに、なぜ国は認可したのか…… もちろん、ここにも製薬・医師会・官僚のそれぞれの利益が関わっているからでしょう。 もういい加減にして欲しいところですが、誰もその解明と裏を取れない巧妙なシステムを 彼らは作り上げているのです。 このシステムを崩す唯一の方法は、ステロイド剤やプロトピック軟膏をはじめとする薬剤を国民の多くが拒否する行動を起こすこと ですが、そこに至にはまだまだ多くの時間を要することでしょう。 それでも当方は、今後も生きている限り、微力ながらインターネット・書籍・会報・面談等を通じて 反対活動を続けてまいります。

以降の内容は、悪だくみをしている彼らが都合のよい理屈を一般に向けて告知した文面です。 そのままそっくり引用しておりますので、一読しご判断ください。 横文字や難しい医療単語が多いのは、彼らのいつもの方法ですね。

◆ タクロリムス軟膏(プロトピック軟膏)使用中およびこれから使用される患者さんへ
 2003年12月12日・日本皮膚科学会 アトピー性皮膚炎治療問題委員会
タクロリムス外用薬問題ワーキンググループ
(文章作成担当)
   タクロリムス軟膏(商品名:プロトピック軟膏,藤沢薬品工業(株))は,1999年11月より,日本で世界に先駆けて大人(16歳以上)のアトピー性皮膚炎治療薬として使用されるようになり,約4年を経て,世界数十カ国でアトピー性皮膚炎の治療に大変役立つお薬として,広く使用されるに至っています.
  また,2003年12月よりは,小児(2~15歳)のアトピー性皮膚炎の患者さんにも濃度を薄くした小児用のものが使用されるようになりました.しかし,今回小児用のお薬の使用に際しては,メディア報道を含むいろいろな情報が飛び交い,患者さんの間で一部に混乱が生じているようですので,当学会の考え方について,以下にご説明します.

★はじめに
 今回小児用のタクロリムス軟膏の発売に際して,厚生労働省から使用する医師に対して,以下のことを患者さん及び保護者の方にご説明して納得していただいたうえで使用することが義務づけられました. マウス(実験用のネズミ)にこのお薬を長期間塗り続けるという実験で,高い血液中の濃度が長期に続いたことより,リンパ腫という癌の増加がみられたこと.
この薬との関連ははっきりしていないものの,外国において,この薬を使用中にリンパ腫と皮膚癌がみられたことが報告されていること.  1については,Q4で詳しく説明しますが,アトピー性皮膚炎の患者さんにおいて決められたルールにしたがって使用していれば,「高い血液中での濃度が長期に続く可能性」は極めて低いことがこれまでのデータから明らかにされています.
  2については,Q7で詳しく説明します.日本では,この薬を使用した患者さんでのリンパ腫,皮膚癌の発生は,これまでにみられていません(2003年9月現在).海外では,この薬の使用との関連が完全に否定されないと判断された例が,リンパ腫,皮膚癌ともに3例づつ報告されています.逆に,この薬との関連が強く疑われた癌の発生は,今のところ1例もありません(2003年9月現在).
  この薬は世界中で既に少なくとも数十万人の患者さんに使用されていることより,それぞれの3例の発生は,自然にこれらの癌が発症する確率を超えるものではないと考えられます.
  しかしながら,昨今タクロリムス軟膏に関して,以上のような癌についての危険性を著しく強調するメディア報道が続いたため,使用中またはこれから使用される患者さんの一部に過度の不安を与える結果となってしまいました.
  そこで,日本皮膚科学会としては,皆様から寄せられた代表的な質問に順を追ってさらに詳しくお答えする形で,私たちの考え方をお伝えしたいと思います.

【Q1】タクロリムス軟膏が使用されるようになってから4年が経つのに,なぜ,この時期に急に安全性が問題視されるようになったのですか?
 そのきっかけとなったのは,ある団体が,タクロリムス外用薬の小児用に対して承認見送りの要望書を厚生労働省に提出したことからです.
  小児用タクロリムス外用薬は,その要望書の内容も含めて,その効果及び安全性の十分な審査の後に,2003年7月17日に正式に許可されました.
  その後,小児についても,2003年12月より実際の診療の現場で使用されるようになりました.また,成人についても今まで通り使用されています.

【Q2】Q1にあった要望とは,どのようなものでしょうか?
 この団体は,成人用のタクロリムス軟膏承認の際に行われた動物実験のデータや,臓器移植の患者さんでタクロリムス軟膏と同じ成分の飲み薬を長期に内服している患者さんのデータより,タクロリムス軟膏使用によって「ガンが増える恐れが大きい」として, 小児用は承認を認めない
成人用も使用を中止する
使った患者さんの健康状態の追跡調査をする の3点を厚生労働省に要望しました.
  厚生労働省では,これらについていろいろな面から慎重に検討しました.その結果,これまで使用されてきた成人用の軟膏についても,これから使用されるようになった小児用の軟膏のいずれについても,アトピー性皮膚炎の治療に使うことはかまわないという結論に至りました.しかし,それらを使う際には,一定のルールを守った上で,アトピー性皮膚炎の治療に慣れたお医者さんによって適正に使用するようにとの注意をつけることにしたのです.

【Q3】タクロリムス軟膏をマウスに塗ると,ガンの発生が何十倍にもなったというデータは本当でしょうか?
 まず,その主張のもととなった正常のマウスに2年間塗布する慢性毒性試験という動物実験について説明します.その試験は, 元来,皮膚に対する安全性をチェックすることを第一目的として行われたものです.
それと同時に,マウスはヒトと比較して皮膚が薄いために,血液中の濃度が上昇するかどうか,もし上昇した場合には全身への影響があるかどうかも調べています.
マウスの2年というのは,ほぼヒトの一生に相当する期間と考えて下さい.
正常マウスを普通に飼っていても,約20%前後に悪性リンパ腫という自然発症のリンパ節のガンが発生します.  以上を踏まえて,実験結果について説明します.
2年間の塗布によって,皮膚ガンの発生やその他の皮膚の異常は,タクロリムス軟膏を塗ったグループでも塗らないグループでもほとんど見られませんでした(100匹中,1~2匹で自然発症と考えられます).
予想された通り,0.1%(成人用の濃度です)及び0.03%(小児用の濃度です)では,内服薬を服用した場合と同じような高濃度のタクロリムス(プロトピック軟膏の主成分)が血液中から検出されました.0.1%の方がその濃度は数倍高いものでした.
無処置の自然発症の悪性リンパ腫は,100匹中23%,0.1%群では71%,0.03%群では25%でした.0.1%群のみ約3倍の増加をみましたが,0.03%群では無処置とほぼ同じでした.  したがって,0.1%の軟膏を毎日分厚く塗り続けるような極限状態のマウスにおいては,血液中の濃度が特に高くなり,リンパ腫というガンが増加したということになります.

【Q4】それでは,成人で使用されている0.1%の軟膏を使用すると,ガンの発生がヒトでも増えると考えられるのですか?
 アトピー性皮膚炎の患者さんにおいて軟膏として適正に使用した場合,血液中の濃度は持続的に上昇することはないと考えられますので,ガンの発生が特に増加するとは考えられません.その根拠は次のような理由からです. 成人のアトピー性皮膚炎の患者さんで,0.1%のものを1日最大20g毎日長期に(最大2年間)使用した試験では,使用開始直後に一過性に血液中の濃度が10ng/ml以上(注意を要するレベル)に上昇した患者さんが131人中4人いました.また,1年間の経過観察中では,皮膚症状の増悪とともに一度だけ10ng/ml以上の濃度を示した患者さんが423人中1人いました.しかし,これらの患者さんは皮膚症状がよくなるにしたがって,すぐに低濃度または検出限界以下になりました.
小児の患者さんに長期(1年間)0.03%または0.1%のタクロリムス軟膏を塗った試験でも,それぞれ97人,96人の患者さんで問題となるような血中濃度(10ng/ml以上)の上昇をみた人はありませんでした.最高でも0.03%で1.5ng/ml,0.1%で5.2ng/mlで一回限りの上昇でした.  なお,成人用の軟膏が許可された時には, 長期安全性試験では,1日最高20gの使用で行われましたが,その半分の1日10gにその使用が制限されて許可されました.
さらに,血中濃度の上昇がより起きにくくなるためにジクジクした症状の部位には使用してはならない. とのルールが作られました.
  したがって,持続的に血液中の濃度が上昇した状態が続くことは,使用上の注意を守るかぎり起こることはないと考えられます.
  以上は,動物実験のデータを含めた成人の0.1%タクロリムス軟膏が認可された際に,十分な議論のもとに到達した結論とそれにしたがって作られたルールです.
  また,Q3で説明致しましたように,0.1%のものを正常のマウスに2年間塗っても皮膚には影響が出ませんでした.

【Q5】タクロリムス軟膏と同じ成分の内服薬使用者で,ガンの発生が増えるというのはほんとうですか?
 白血病の骨髄移植や,その他の臓器移植後の患者さんで,プログラフというタクロリムス軟膏と同様の成分の内服薬が拒絶反応を抑える薬として使用されています(これらの患者さんにとってプログラフという飲み薬は,生命を維持するために欠かせないお薬です).これらの患者さんではガン,特に悪性リンパ腫が増加することが,1997年までのデータで明らかにされました(12歳未満8.8%,12歳以上0.8%).
  この最大の理由は悪性リンパ腫の一部を引き起こすEBウィルスを抑える細胞の働きまでもプログラフが抑えてしまうためと考えられます.しかし,プログラフを含む免疫力を抑える治療法が改善された1999~2000年の時点では小児腎移植患者ではプログラフを使用しない場合(1.1%)と使用した場合(0.95%)とほぼ差がないというデータが出ています.
  現状では,プログラフという内服薬を使用すると必ずガンになるということではなく,多少危険性が増えるかどうかということが議論されている状況まで使用法が改善しているのです.

【Q6】タクロリムス軟膏を外用していた場合,プログラフ内服と同じような心配はあるのでしょうか?
 タクロリムス軟膏の使用量は,成人では1日10gに,小児では,それぞれ年齢に応じた量に制限されていますが,これらの量の範囲内での使用をずっと続けていたとしても,血液への移行は微量であることが確認されており,内服薬のような心配はありません.

【Q7】タクロリムス軟膏を外用していた場合に,使用部位に皮膚ガンが発生しやすくなることはないでしょうか?
 成人用0.1%が承認された時のデータですが,紫外線照射で100%皮膚ガンが起こる色素を持たないアルビノマウスという特殊なマウスで実験してみたところ,オスのマウスに限って皮膚ガンが起こる期間が若干短くなるというデータが出ましたが,タクロリムスを含まないワセリン基剤のみでも同じ程度に短くなるというデータが出ました.この結果より,タクロリムス自体に皮膚ガンの発生する実際的な影響ははっきりと確認されたわけではないと考えられています.但し,念のため日光浴,海水浴,日焼けサロンなどの状況では使用しないような注意がされています.また,約10年前から,タクロリムス軟膏の開発に協力下さった患者さんの調査及び市販後の調査ではリンパ腫,皮膚ガンの報告は国内にはなく,皮膚ガンの多い外国でも,少なくとも数十万人使用されている中で,この薬との関連が完全に否定されない3例のリンパ腫及び3例の皮膚ガンの報告はありますが,タクロリムス軟膏とのはっきりとした関連が確認されたものはありません.この薬は,世界中で既に少なくとも数十万の患者さんが使用されていることより,それぞれの3例の発生は自然に発症する確率を越えるものではないと考えられます.

【Q8】タクロリムス軟膏の世界的な評価はどうですか?
 1999年11月に日本で成人用0.1%が認可され,その後2001年2月には米国で成人用0.1%及び0.03%,小児用0.03%が認可されて以来,薬との因果関係がはっきりした大きな副作用の発生は1例もなく,アトピー性皮膚炎治療薬として高い評価を受けています.
  最近では,EU,アジアでも数十カ国で承認を受け,世界的な標準薬の地位を確立しつつあります.それぞれの国で日本と同じ動物実験のデータや,治験といわれるヒトでの承認前の使用試験成績を厳密に審査された上で,認可されているのです。

【Q9】今回の要望書を受けて,成人のタクロリムス軟膏が使用取消しになることがありますか?
 一部のメディア報道が,結果として読者に対して誤解を与えてしまうような内容であったため,このような問合せもありましたが,タクロリムス軟膏の使用が取り消しになることは,少なくとも現在の状況においては考えられません.それは,タクロリムス軟膏の危険性についての指摘が内服薬における危険性と混同されている部分が多いことより,厚生労働省が使用取消しの決定をする可能性はないと考えられるからです.
  なお,これまでにもステロイド外用薬の全面使用禁止の要望書がいくつもの団体から厚生労働省に出されていますが,それらの要望も内服薬と外用薬の危険性を混同している誤解に基づくものが多く,全く当局によって取り上げられていないことと状況は類似していると思います.

《最後に》
 成人,小児用ともに,タクロリムス軟膏には,厳しい使用上の注意を払うことが義務づけられており,医師に対しても使用に際しての特別のガイダンスが作成されています.
  今後とも,誇張された情報に惑わされずに,主治医の先生と十分なコミュニケーションを取りながら,タクロリムス軟膏を適正に使用していくことを当学会よりも患者の皆様にお願いしたいと思います.

→アトピー完全克服法(生後まもなく発症)
→アトピー完全克服法(1~2歳発症)
→アトピー完全克服法(3歳~第二次性徴期発症)
→アトピー完全克服法(第二次性徴~成人発症)

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