脱入浴・脱保湿について


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脱入浴・脱保湿について


脱入浴は改善スピードを上げる

アトピーの湿疹や搔き壊しによって有用菌が減少し、弱酸性バリアが壊れてくると、体は第二の防壁として患部に瘡蓋を作って異物の侵入を阻止 します。 言わば 瘡蓋は、天然の絆創膏 なのです。

アトピーの克服には、 まず第一に腸管粘膜の整備、そして第二に炎症部位に瘡蓋を早く作る ことが重要 です。多くの場合、腸管が正常化し内部からの排出がストップすれば、 皮膚の炎症部に発生するジュクジュクした状態も落ち着き、徐々に瘡蓋が作られていきます。

しかし入浴すると、空気中の数十倍 強い浸透圧によって、やっとできた瘡蓋はすぐにふやけて剥がれ てしまい、水や空気中を好む雑菌群の侵入を容易にしてしまいます。

特にアトピー症状の皮膚は、通常の皮膚よりも粘膜に隙間が多く、 酸素の侵入も非常に多くなりますから、 粘膜下層に棲息する嫌気性の有用菌は 酸素を受けて死滅していき、やがて皮膚自体が雑菌群の好む中性に傾いていく のです。 また、 空気中に存在する雑菌群は、水分を媒介にして20分に1回の増殖を行う ことが 分かっていますから、炎症部分を濡らしたり、瘡蓋が剥がれてジュクジュクした状態で、 黄色ブドウ球菌などと接触すれば、一気に感染し炎症範囲は拡大していき、 「とびひ」や「水疱瘡」「カポジ水痘」など厄介な感染症を引き起こすこともあるのです。

加えて、アトピーの方の中には、風呂上がりに異常な痒みが出る方もいらっしゃいます。 これはどういうことかと言うと、通常、風呂から上がると汗を出すことで上昇した体温を 正常化していきますが、アトピーの方の場合は、自律系への感知情報が逆転して 熱を体内に閉じ込める方が多く、その熱を出さなければ体は平熱を保てなくなるので、 体に痒みを与えて掻くことで、柔らかい皮膚部位や傷のある部位から熱を放散させるためです。
お湯で柔らかくなった皮膚は掻けばすぐに破れますので、 さらなる感染条件を作り、炎症部位が拡大します。
このような理由から、当方では脱入浴をおすすめしているのです。

入浴の危険性まとめ
①水分との接触によって感染条件を作りやすくする。
②風呂の浸透圧で瘡蓋が外れ、炎症部はさらに拡大する。
③風呂上がりに痒みが出て、搔き壊し等でさらに感染しやすくする。


日本の「きれい好き」慣習からして、異常とも思える改善方法ですが、 結果から見ればこの方法を実践した方とそうでない方の改善には大きく差がつきます。 まだ当方でも、現在ほど強く脱入浴指導していなかった頃には、 改善途中で入浴を再開させてしまい、一気に悪化した方々が数多くいらっしゃいました。
(本当に恐ろしいスピードで感染するのです……その後のご本人・ご家族の 落胆振りには声も掛けられないほどでした)
現在では脱入浴の説明を徹底していますが、それでも大抵の方は、
「不潔ねぇ……体が臭くなりそう」
「外出できなくなる」
「頭がすぐ痒くなるので洗髪は欠かせない」
などの反応をされます。そのような場合は無理強いはせず、
「う……まぁ、2、3日に1回さっとシャワーを浴びる程度であれば……
その代わり、風呂上がりはすぐに押さえ拭きして弱酸性ローション処置ね」などと、 症状やその方の意見によって少し譲歩することにしています。
(経験上、アトピーの方は乾燥肌の方が多いので、ローション処置だけでも4日くらいは 完全に脱入浴しても平気ですが、無理強いしてストレスになるのも良くないですからね……) それでもやはり理想は脱入浴です。
脱入浴すれば、雑菌群やウイルス群の感染率はぐんと下がり、瘡蓋も維持しやすく、体温も上昇しません。アトピーの方にとってはいいこと尽くしなのです。

脱保湿の重要性について。
さて、次に脱・保湿についてお話していきますが、ここまで読まれた方の中には、 「患部が空気や水に触れると感染するのなら、保湿剤で蓋をすればいいんじゃない?」 と思った方もいらっしゃると思います。
しかし、保湿剤もまた入浴と同様に危険な処置となるのです。
これについても順を追って説明していきましょう。

現在、乳児湿疹やアトピーを煩う方々が必ず一度は試すのがこの保湿剤です。
数年前、国立成育医療研究センターが発表した「生後すぐからの保湿がアトピーを予防する」 という研究結果が新聞などに掲載されてからは、病院でも保健所でも育児書でも、 「毎日肌を清潔にして、保湿しましょう」と口を揃えて指導するのですから当然です。 当方へ相談にいらっしゃった方々への 聞き込み調査でも、ほぼ100%の方がアトピーに保湿は必要と思い込んでいました。
そして、結果的にはどんな方法で保湿をしても治らずに、当方を訪れたのです。 けれどもこれは、当然の結果です。
先ほど、入浴は有用皮膚常在菌を減らし、雑菌感染の条件を作りやすくすると 説明しましたが、実は保湿剤も入浴と同じことが言えるからです。

保湿剤でアトピー症状は拡大する。
まず第一に、 油分を含んだ保湿剤の大半はph7中性 で作られているため、 これを毎日何度も肌に塗って密封状態にすると、 皮膚粘膜上層部に生息する 好気性の有用菌が減少死滅し、中性に傾いた肌は、細菌感染を起こしやすくなります。
また、皮膚粘膜下層部の嫌気性の有用菌は、肌の乾燥を察知すると 皮脂を分泌させるよう働きかけると先述しましたが、 油脂系の保湿剤を長期に塗り続けていると、皮膚は保湿剤の油分を皮脂と勘違いし、自ら皮脂を出して保湿する力が低下していく のです。
そして、アトピーの方々にとって 最も危険なのは、保湿剤で患部を保護し続けていると、 湿疹を通して外に排出されるはずの体内異物が出口を失い、 無理矢理に他の部位から排泄を始めるので症状範囲が拡大 してしまうのです。 すでに何度もお伝えしていますが、アトピーの湿疹は、体内の異物排泄のためです。 言わば湿疹は体内を正常に保つための浄化口ですから、 異物排除の原因を解決させないまま保湿剤で湿疹を保護しても逆効果になります。
確かに、空気中の雑菌との接触を油分で物理的にブロックすることで、 一時的に良くなるようにも見えますが、最終的には上記で説明した経緯を辿ります。
これらの作用は、馬油や精油など自然の素材であってもほぼ同等と言えるでしょう。
また、火傷や切り傷などの場合、食用ラップや専用絆創膏等で傷口を覆い、 患部から出る滲出液を保護して瘡蓋を作らせずに治す湿潤療法というものも存在しますが、 これをアトピー治療に応用するのは保湿剤と同様の理由で危険です。

弱酸性の肌を取り戻すには。
アトピーの肌ケアで重要なのは、有用皮膚常在菌を意識することです。
そこで当方では、脱入浴と併行して、雑菌の排除と有用菌の保護・増殖促進のために弱酸性(ph4)ローションの処置を推薦しています。

このローションは、健康な皮膚と同じ弱酸性ですから雑菌が生殖できません。 つまり、健康な肌が持っている天然の弱酸性バリアや瘡蓋の代用となるのです。 また、このローションは水溶性ですから、油脂系の保湿剤のように皮膚呼吸を妨げず、 毎日洗い流す必要がありませんので、感染条件を作る水との接触が格段に減ります。

アトピーに必要な肌ケアのまとめ
①炎症部位にすでに棲息している雑菌群をph4ローションで排除し、  肌表面を有用菌が棲息しやすい弱酸性で維持させる。
(抗生剤や殺菌剤は有用菌まで死滅させ、肌を中性にしていきます。保湿剤も同様)
②脱入浴・脱保湿を行い、炎症部位やその周囲の皮膚を濡らさないよう心がけ、  感染条件を最低限に止める。濡れた時はすぐに押さえ拭きしてph4ローションを塗る。

弱酸性ローションを塗って、極力患部を濡らさない。
これで、黄色ブドウ球菌などによる厄介な感染症を防ぐことができ、 有用菌の棲息する健康な肌に繋がっていきます。
そう、方法はとてもシンプルなのです。
ステロイド剤やら抗生剤やら保湿剤やらを追加していくから、 それらをいちいち洗い流す入浴が必要になるなど、徐々にややこしいことになるのです。

そもそも皆さん、大怪我をしているときにお風呂に入ろうとしますか? アトピーの炎症もおんなじことなのです。

→アトピー完全克服法(生後まもなく発症)
→アトピー完全克服法(1~2歳発症)
→アトピー完全克服法(3歳~第二次性徴期発症)
→アトピー完全克服法(第二次性徴~成人発症)

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